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概要
顎変形症外来(毎週水曜日)
主任: 横田 祐介(講師)
担当医: 関 壮樹(助教)、 原田 計眞(医員)、 山田 早織(医員)、 島岡 祐加子(医員)
顎変形症とは
顎変形症とは一般に、上アゴ(上顎骨)または下アゴ(下顎骨)の過成長(過剰な発育)、あるいは劣成長(発育不良)などが原因で上下の歯の咬み合わせの異常や、顎顔面形態の不調和をきたす病態をいいます。また、咬み合わせが悪いことによって言葉が不明瞭になったり、「受け口」や「出っ歯」を呈することによって精神的に悩みをかかえたりする方も少なくありません。
原因は遺伝的要因のみならず、口唇裂・口蓋裂のような先天的な疾患もしくは内分泌系の疾患、顎骨の腫瘍や外傷による二次的なものまで様々です。また、アゴの形態や大きさが主な原因であるため、歯列矯正(歯の矯正)のみでは十分な結果が得られません。
このような患者さんに対して当科では外科的矯正手術(全身麻酔下でアゴの骨を分割して咬み合わせやアゴの形態を改善させる手術)を行っています。手術は通常アゴの成長発育が終了する年齢(17-20歳以降)に行います。
顎変形症の治療の流れ
1.術前歯科矯正治療
矯正専門医により外科的矯正手術の適応か診断を行います。また手術を行う上で全身に問題がないかスクリーニング検査を行います。外科矯正手術の適応と診断された場合には、術前矯正治療(手術の際に想定される咬み合わせに合わせて歯並びを直していきます)を開始します。これは、手術後の骨の治癒が速やかに進むために、上顎と下顎の安定した固定が必要であり、そのためには咬み合わせが、ある程度緊密になっていなければならないからです。なお、治療開始および手術前に、口腔外科と矯正歯科による合同カンファレンスで、治療方針について綿密に打ち合わせを行います。また、院外の矯正歯科開業医から紹介されて当科を受診された方には、ご紹介して下さった先生と連携し、治療を進めています。
2.手術の4-5週間前(術前検査)
術前矯正終了後、全身状態の最終チェック(検査)および、手術の日程を決定します。主な検査項目として、血液検査・レントゲン検査(胸部、頭部、顎関節、パノラマ)、心電図、呼吸機能検査、内科医の診察等が挙げられます。また、手術の日程が決定した段階で、看護師から入院に関するオリエンテーションが行われます。
3.手術の3-4週間前(自己血輸血)
上アゴ(上顎骨)、下アゴ(下顎骨)を同時に移動する患者さんが対象になります。約400mlの血液を採取し、手術日まで保存しておきます。
4.手術の前日(入院)
入院してから主治医・看護師からの病歴等の聴取、顔貌写真・口腔内写真撮影、血液検査、手術説明、麻酔医による術前問診・麻酔の説明、矯正専門医によるスプリント(手術時に使用するかみ合わせのプレート)の調整を行います。
5.手術当日
手術開始前に、気分をリラックスさせるお薬を注射し、手術場に運ばれます。手術室にて麻酔医が全身麻酔をかけ、手術が施行され、麻酔から覚醒し、帰室となります。
術式に関しては、歯列模型(歯型)やレントゲン資料を用いて矯正歯科医と手術の方法について十分、術前検討を行った上で決定しています。上アゴ(上顎骨)、下アゴ(下顎骨)もしくは両方を全身麻酔下で分割して前後、上下、左右に移動させて、想定された噛み合わせの位置でアゴ(顎骨)をネジやプレートで固定します(固定を必要としない術式もあります)。
6.術後管理
手術翌日から一定期間(7-10日間)、咬み合わせを安定させる目的で顎間固定(上下の歯をかみ合わせた状態で固定する)を行います。術翌日より、口を開けることは出来ませんが、話すことや流動食を摂ることは可能です。また、血腫や腫脹の防止のため、口の中に持続的な吸引チューブを1日間留置します。また、術後7-10日で抜糸を行います。
7.退院と術後矯正治療
通常、術後10-14日間で退院となります。退院後は当科へ定期的に通院して術後経過を診察するとともに、矯正専門医により術後矯正治療(最終的な咬み合わせを安定させるための矯正治療で治療期間には個人差があります)を行います。
顎変形症の治療の実際
かみ合わせの変化(初診・術前・術後)
上下顎骨切り手術により良好な咬み合わせが得られています。
治療による側貌の変化(初診・術前・術後)
E-line(鼻先とオトガイとを結んだ線)に対する上下唇の位置の改善が得られています。