学内での授業内容や各行事のトピックスをお届けします。
顎顔面補綴 (がくがんめんほてつ)
歯科技工学特論 「顎顔面補綴の技工操作」
6月1日午後より二年生対象に、愛知医科大学病院主任歯科技工士の森下裕司氏をお招きし、顎顔面補綴の授業がおこなわれました。
現在、日本では約100万人の顔面の障がいを持たれた方々がいらっしゃいます。その方々の補綴物を、歯科技工士がもっている技術(形を再現する、鋳造技術、加工技術、矯正技術)を生かし、森下先生は医療として患者様に補綴物を製作していらっしゃいます。先生が手掛けた症例(義眼床・鼻孔レティナ・人工乳房・エピテーゼなど)をスライドで紹介していただきながら「従来の歯科技工の知識だけでなく、広く社会性を持って知識を得なければならない」ことを深く考える講義でした。
後半は顎顔面補綴の技工実習をしていただきました。
「顔の型はどうやって採るの?」学生1名が快く患者役を引きうけ実習がはじまりました。洗面器で大量の印象材を手でかき混ぜ、その手で直接顔に塗り印象材の上にすばやく石膏包帯を巻きつけます。小さな補綴しか見ていない学生たちには驚きの光景。採った顔の型には、これまた洗面器で石膏を手でかき混ぜ石膏を流し込みます。
石膏の硬化を待つ間、「(日本人の)肌色の色彩あわせ」のデモンストレーション。「肌色は白・黄・赤で濃い色にするときは 少しだけ青や茶」で補綴する医療用シリコンを患者様の横で色合わせされるそうです。
近年増え続けている乳がんの手術後の「乳頭再建」の技工もしていただき、最後は「特殊メイク」のデモンストレーション。「特殊メイク」はテレビや映画でよく見聞きするのですがどうやってするんだろう?
頬に傷痕メイクを先生が施すと、
「痛そうや~」「ほんとの傷みたい~」
森下先生はこれらの技術は歯科技工以外から学んだり、独自に試行錯誤されているそうです。
その後、さっきの顔の型から石膏をとりだし、
「こうやって自分の顔を見れることが、なんだか不思議~」
そうか、鏡で映すのではないものね。なるほど~
顎補綴という「技工」の違った一面を垣間見た2年生の学生たち。
歯科技工の奥深さを感じられたのではないかな。