てがみ―昔の私へ―
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親は学び、その経験があなたを強くし、前へ前へとすこしずつですが進ませて くれます。もちろん時に、人と比べてがっかりしたり、健常の子どものように 子育てが進まなかったり、あれもこれもできないと嘆いたり、うつうつとしたり はします。そんな時は、じっと時を過ごすのもいいけれど、考え過ぎてこころが 沈み込んでしまうかもしれません。ではどうするか。人にぐちをこぼすのもいいし、 関係ない本を読むのもいいし、映画をみたり、趣味のことをしたりするんです。 時間がない?そう、障害の子どもを持つと親は忙しい。時間はなかなか見つけられ ませんが、時間は作るものです。周りの力を借りましょう。身内がだめでも、 さまざまな団体や公的機関があります。そういうものを頼り、子育てをすこし 離れる時間が持てれば、それが30分でも15分でもリフレッシュできます。 今はこんなに追い立てられて、24時間付添いの看護婦のような気持ちでしょうが、 少しずつ時があなたにあなたの時間をくれるようになります。子どもは成長します。 大丈夫。少しずつあなたのための時間が戻ってきます。 そして、苦労ばかりで何も生み出さないように思っていた長い子育ての時間は、 知らぬ間にあなたに豊かな人間性をプレゼントしてくれます。人を思いやる心を くれます。弱い人にやさしいこころを向けられる目をくれます。人のために何か してあげる気にさせてくれます。なぜなら、あなたが子育てしている間、多くの 方々の無償の善意をいただくからです。 今までの人生設計とは少し違う人生になりますが、思っていた人生より、ずっと 素晴らしい豊かな人生が待っていますよ。つらいことはたくさんありますが、谷が 深いほど、山は高いものです。なにげないことにも、大きな喜びをみつけられます。 さあ、いやいやながらも、足を踏み出しましょう。がんばらないで、愚痴りながら、 時間をかせぎましょう。 心配しないで!大丈夫です! M・Y
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