てがみ―昔の私へ―
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24年前の私へ 退院おめでとう。大きな手術を受け生死をさまよいましたが、元気になって本当によかったね。 手術の前に、息子の高等部の卒業式に出席したいと夫と同伴で行き、息子が卒業後に通う 作業所までの交通機関を1週間息子と2人で練習して、あなたは入院しましたね。 3ケ月間の入院を終え、家に帰ったあなたは子供たちの成長ぶりにおどろき喜んでいましたが、 やがて落ち込み悩んでいましたね。 これを境にあなたは変わりましたね。あなたが居なくてはこの家は回らないと思っていたのかしら。 夫も子供たちも何も出来ないと思っていたのか、あなたが何もさせていなかったのか。退院後は、 あなたが動けないと分かっていたのか、息子も忘れ物をしないようにしっかりと自分で用意して いたし、お風呂の掃除やキッチンの洗いものは夫と娘でしていて、それをあなたは見守るように 見ていましたね。 そして、あなたに出来たゆとりの時間を自分自身の楽しみの時間として持つようになり、 あなたに余裕が出来ると家族にとっても余裕が出来てゆったりとした家になったのね。 あなたは楽しみの時間を使って交友関係を拡げて、息子とも一緒に出かけるようになりましたね。 手術から5年後、息子の小学校時代の恩師の居るオーストラリアへ息子と2人で行きましたね。 周りの人たちの心配をよそに、8日間の旅行を楽しんだ親子は何か自信を得たように輝いていまし たね。あなたは「出来るかどうかは、やってみないと分からない。」とよく言っていましたが、やってみると 出来る方法が浮かんでくることがあるのも学びましたね。 そして、息子も色々な事に挑戦して何が好きなのか見極めて、老後の楽しみを探しているのと 言っていたわね。今も続けている、仲間とのバンドは20年に、ジョギングは10年になるかしら。 あなたは病気をして、心身共にくじけそうになった時期もありましたが、20年以上過ぎて 振り返って見るといい時期に大切な事を学ばせてもらったのではないかしら。あなたも老後を 目前にして、親なき後の息子の事をしっかりと考えておいてね。くれぐれも身体には気をつけてね。 T.T.

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