外来・診療スケジュール

口腔腫瘍外来

概要

口腔腫瘍外来(毎週火曜日 午前・午後,初診受付は午前のみ)
担当医:相川 友直(講師)、平岡 慎一郎(助教)、天野 克比古(助教)(平成30年8月1日現在)

はじめに

口腔(口の中)には、胃や腸などの内臓と同じように様々な腫瘍(できもの)が発生します。その中には悪性腫瘍(大多数が癌腫、いわゆる口腔癌)の発生も多く認められます。わが国での全がんのうち口腔・咽頭の悪性腫瘍が占める割合は約2%であり、2005年10915人の方が口腔・咽頭の悪性腫瘍に罹患されました。全世界では2002年27万4千人に口腔悪性腫瘍が発生し、北欧やアメリカで急速に口腔悪性腫瘍が増加しているとの報告があり、食生活の欧米化が進み、超高齢化社会を迎えるにあたって、わが国でも増加する可能性が十分に考えられます。

口腔癌の発生部位

ひとくちに口腔癌といっても舌・歯肉(はぐき)・口腔底(舌の下)、頬粘膜(ほほ)・あごの骨・唾液腺など、いろいろな場所にできます。それぞれ、舌癌、歯肉癌、口腔底癌、頬粘膜癌、顎骨中心性癌、唾液腺癌などです。当科での統計によりますと、口の中でのがんが最もできやすい場所は舌です。
当科の部位別症例数は、

部位
360 36
上顎歯肉・上顎骨・口蓋 195 19
下顎歯肉・下顎骨 174 17
口腔底 96 10
頬粘膜・後臼歯三角 101 10
口唇 6 1
大唾液腺 24 2
その他 51 5
合計 1007 100

どんな特徴や症状がでるの?

口の中にがんができた場合には様々な症状が現れます。その症状としては、初期の頃は特に無症状ですが、進行するにつれ次第に、潰瘍(深い口内炎のような症状)ができる、食べ物が当たると痛い、腫れる、急に歯がぐらぐらするなどの症状が認められるようになります。舌ではほとんど舌縁部後方に発生します.白板症(図1)という前癌病変ができ、その10%以上は癌化すると考えられています(図2,3)。そのため白板症でも口腔外科などの専門医に受診することをお勧めします。


図1:白板症


図2:初期癌


図3:進行癌

どんな治療をするの?

まず,腫瘍の進行度合いの把握のための検査(単純X線,CT,MRI,超音波エコー)を行い、治療開始直前に組織検査(生検)をして治療方法を選ぶようにしています。治療直前まで生検を行わないのは、生検から本来の治療までの期間を短縮し、検査の浸襲による影響をできるだけ短くするためです。

治療法としては、がんの大きさ、部位、転移状況,病理組織(細胞の由来と性格)などを考慮しますが、治療後の口腔機能(呼吸、食べる、話す、飲み込む)を最大限に温存することも治療法の選択のために考慮します。初期癌では手術が第一選択となり、術後の口腔機能はほとんど温存することができます。第二選択として放射線治療(外部照射療法または密封小線源治療)を選択することもできます。大阪大学では日本で唯一歯学部附属病院に放射線治療装置を設置しております。進行癌では手術の後、術後に放射線照射する治療方法が世界の標準治療です。ある程度高度進行症例には放射線療法と化学療法(抗がん剤投与)を同時に併用する療法が標準治療です。患者さん一人一人にとって最も良い治療となるように、その方の他の御病気の状態などを考慮して治療方法の選択をしています。

世界の標準治療(米国国立癌研究所(NCI)が配信する Cancer Information Physician Data Query from National Cancer Instituteの専門家向け情報を基に日本語翻訳したもので見ることができます。(http://cancerinfo.tri-kobe.org/
アメリカNCCNの口腔癌治療のガイドライン、MD Anderson Cancer Centerのガイドライン)と当科のデータを基準として治療法を決定しております。

治療成績

日本の5年累積生存率の平均は51%です。私どもでは最も多い扁平上皮癌の場合5年累積生存率(相対生存率Overall Survival, Kaplan-Meier法)は72%で,唾液腺腫瘍の場合は83%です.この生存率は,全ての死因を含んでいます.すなわち,治療後交通事故や他の部位の癌または疾患による死亡も死亡として計算されます.口腔癌による死亡だけを算定した疾患特異的生存率(Disease-specific Survival)はそれぞれ76%,84%となります.生存率の表記方法に種類があるため、混乱を避けるために両方を示します。

扁平上皮癌の病期(Stage)別・原発部位別の生存率
  症例数 Overall Survival Disease-specific Survival
I期 218 91% 96%
II期 319 83% 85%
III期 189 67% 70%
IV期 238 54% 58%

追跡率:92.2%

表のように、初期癌(I-II期)の生存率とIV期の進行がんでは明らかに生存率は低下します。
それゆえ可及的に早期発見早期治療が望まれます。

5年累積生存率の年度別推移
  -1986 1987-93 1994-2001 2002-
Overall Survival 61% 73% 76% 85%
Disease-specific Survival 62% 80% 78% 87%

治療成績は年々向上しております。
これは、診断・治療技術の進歩と、過去の治療結果を解析した科学的根拠に基づく医療に起因すると
考えております。

口腔機能回復

口は、呼吸、食べる、話す、さらに顎顔面の審美を形態するなど大きな人としての機能を司っています。だから、すべての機能を可及的に維持させること、回復させることが必要です。マイクロサージェリーなどの手術だけではなく、飲み込む(嚥下)機能や発語機能の回復には、口腔外科だけではなく顎口腔機能治療部と顎補綴の先生方とのチーム治療によってもよりよい機能回復を行います。その結果、治療後の食べうる機能は平均85点で、発語機能87点で、5名(2%)の方が流動食のみ摂食可能ではありませんが、85%以上の方が普通食の摂食が可能です。もちろん、症例によっては顎骨再建術やインプラントなどによる咀嚼機能回復も可能です。

治療方針(あとがき)

がんの集学的治療とは、単独の治療では十分な治療効果が期待できない場合、2つ以上の治療法、たとえば放射線療法と手術療法を組み合わせた治療法のことを言います。しかし、単に複数の治療法を組み合わせたからといってその結果が良くなるわけではありません。効果的な組み合わせが必要です。また、単独治療で十分な治癒率が得られるような場合に他の治療を行ってしまうと、たとえば手術に放射線治療を組み合わせると同じ部位にその後照射することが不可能となります。再発あるいは他の癌が重複癌として発生することも在り得ますので、効果的な治療方法を後のために温存することも重要です。ですから、当科の基本的な治療方針は、初期癌では手術単独療法、進行癌では手術と術後放射線療法、さらに進行癌には同時性化学放射線療法(選択的動注)であり、結果的にMD Anderson Cancer Center, National Comprehensive Cancer Network (NCCN)のガイドラインと同じ標準治療を採用しております。


セカンドオピニオン

専門医によるセカンドオピニオンをご希望の患者様は火曜日または水曜日の午前中にお越しください。

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