外来・診療スケジュール

口腔腫瘍外来

口腔癌の標準治療

口腔癌は決して治らない疾患ではありません。米国国立癌研究所(NCI)が配信する標準治療で、初期癌(頸部リンパ節転移のないI-II期)なら手術単独療法あるいは放射線単独療法によって90%の治癒率が見込めることをしめしていますが、我々のデータでも5年累積相対生存率は91.6%(96.3%のDisease-specific survival)と高い生存率です。また、ある程度進行した頸部リンパ節転移のないIII期でも手術療法によって80%の治癒率が見込めると示されているように、我々のデータでは5年累積生存率84.3%(97.3%Disease-specific survival)です。

進行癌(III-IV期)では、上記の高い生存率は見込めないのが現状です。そのため単独療法ではなく、手術と術後放射線療法が現在の世界の標準治療であります。放射線療法は術前より術後に行ったほうが、効果が強いことがすでに示されています※1。我々の施設ではIII期 74.3%(79.5%)、IV期 54.5%(59.8%)の5年累積相対生存率です。これらの治療成績をさらに向上させることを目標に、化学療法(抗癌剤)は1985年より術前に施行することで局所の制御や転移を抑制すること期待されて行われてきましたが、残念ながら生存率に対して有益性は示されませんでした※2。当教室の結果でも、術前化学療法を併用してもしなくても生存率はまったく同じで結果で、さらにリンパ節転移ない口腔癌では生存率に影響は無いものの、後発リンパ節転移を起こす率が高くなり、逆に術前化学療法が不利益を与える可能性がありました※3。この結果が明らかになった以降、術前単独の化学療法を施行しておりません。今世紀に入ってから新しい抗癌剤の併用が試されていますが、まだ明確な結果は確立しておりません。米国国立癌研究所(NCI)が配信する標準治療の考えと同じく、我々は術前化学療法(抗癌剤の治療)をあくまで臨床治験として位置づけております。

手術不可能あるいは手術により高度に口腔機能を損なわれことが予想される高度に進行した症例には、同時性放射線化学療法が、近年標準治療として位置づけられました。同時性放射線化学療法は8%の生存率優位性がすでに証明されています。ただし、本療法後の合併症(口腔機能障害:発語障害、嚥下障害(飲みこめない)など)とさらに数~数十年後に発症しうる合併症が問題で、高度進行がん以外の症例には標準治療として推奨はされていないのが現状です。治療は非常に強い副作用が伴いますので、我々の施設では手術不能あるいは手術を先行すれば口腔機能低下著しい症例にのみ同時性放射線化学療法を選択しています。

参考文献

  • Amdur RJ, Parsons JT, Mendenhall WM, Million RR, Stringer SP, Cassisi NJ. Postoperative irradiation for squamous cell carcinoma of the head and neck: an analysis of treatment results and complications. Int J Radiat Oncol Biol Phys 1989;16:26-36.
  • Pignon JP, Bourhis J, Domenge C, Designe L, on behalf of the MACH-NC Collaborative Group. Chemotherapy added to locoregional treatment for head and neck squamous-cell carcinoma: three meta-analyses of updated individual data. Lancet 2000;355:949-55.
  • Okura M, Hiranuma T, Adachi T, Ogura T, Aikawa T, Yoshioka H, Hayashido Y, Kogo M, Matsuya T. Induction chemotherapy is associated with an increase in the incidence of locoregional recurrence in patients with carcinoma of the oral cavity. Results from a single institution. Cancer 1998;82:804-15.

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