歯や骨などの生体硬組織は、細胞外マトリックスにリン酸カルシウムが沈着した石灰化組織です。この石灰化過程に異常があると歯や骨の形成不全や骨軟化症等の様々な病気が発生します。 |
唾液腺の腫瘍は頻度が低く種類が多彩であるために、研究は十分に行われていません。有効な治療法は手術のみで、再発や転移を起こした腫瘍の完治は殆ど望めません。 私達は口腔外科学教室の協力を得て、腫瘍細胞や細胞の動物への移植によって形成される腫瘍の研究を行い、唾液腺腫瘍の発生と進展のメカニズムを分子生物学的に明らかにしようとしています。得られた成果が新世代の分子標的剤の選択に利用されたり従来の化学療法や放射線療法の効果を高める手段に利用されたりして、患者さんの生存率が改善することを願っています。 |
Fibrous dysplasia(FD)は、未熟骨を伴った線維性組織が正常の骨を置換していく骨の病気で、全身骨格に発生して骨格変形、骨折等の症状を引き起こします。その好発部位は顎骨であるため、歯科にも多くの患者さんが来院されます。近年、本症の病因遺伝子(GNAS遺伝子)が同定され、発症・病態の分子メカニズムが明らかになりつつあります。 |
我が国の口腔癌による死亡者数は30年前と比較して2倍以上に増加しています。この傾向は若年層を含めどの年齢層においてもみられ、癌の早期発見の進歩が求められています。多くの口腔癌は、白板症や紅板症などの前癌病変を経て発生するとされていますが、これらの段階では自覚症状に乏しく、口腔癌検診や口腔細胞診の普及率も低いため病変が発見されにくいのが現状です。 |