English
大阪大学歯学部附属病院
大阪大学歯学部附属病院 口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センター

概要ABOUT US

私どもは口唇裂・口蓋裂の治療に80年以上関わりつづけ、常に世界の最先端を目指してきました。大学病院の特性を生かし、複数の診療科でのチーム医療により、口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療(同様の治療を要するその他の顔面裂患者、ロバンシークエンスなどの先天性の顎変形を呈する患者の治療も含む)に対して、新生児から成人までの一貫治療を行っています。

大阪大学歯学部附属病院の中でも、ここまで長い間経過を診る疾患は他にありません。

当院では、2015年より口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センターを開設しました。
発足後、センター長およびセンター専属の看護師を設置し、また月に1回、複数科合同のカンファレンスを行い、各患者の診断・治療方針を相談し、決定しております。

また、2019年度には待合室の壁画アートのためのクラウドファンディングを施行し、たくさんの寄付をいただきました。2021年3月にセンター待合室および4階顎口腔機能治療部の言語治療室に壁画アートが完成しております。

現在も複数の臨床研究を並行して進めており、各専門分野のスペシャリストの知識と技を集結させこれまでよりいっそうレベルの高い治療を患者さんに提供するため、スタッフ一同努力を続けていきます。

センター待合室に集まったスタッフの一部。
(口腔外科、顎口腔機能治療部、矯正科、看護部など)このメンバーで子どもたちとご家族に寄り添い続けています。

概要

口唇裂・口蓋裂とは?CLEFT LIP AND PALATE

口唇裂・口蓋裂とは、赤ちゃんの唇や歯ぐき、上あごが割れている状態で生まれてくる先天性顔面疾患です。日本では約500人に1人の割合で生まれてくるといわれており、多くの場合、原因不明です。

成長に伴い、長期にわたり治療を受けます。日々成長していく顔に合わせて治療をしていく必要があるため、裂(れつ:割れている場所)の形によっても異なりますが、目立たなくなるまでには平均5~7回の手術を行うこともありますが、現在は治療法が確立されており、おおよそ成人するころには目立たなくなるまで改善します。私たちは、その病気の患者さんを赤ちゃんから大人になるまで、ずっと成長を見守りながら、その時々に必要な治療をしています。人によっては生後数日から成人、もしくはその後まで、長期間にわたり1人の患者の診察を行います。

大阪大学歯学部附属病院の中でも、ここまで長い間経過を診る診療科は他にありません。赤ちゃんから大人になるまで、病気と向き合う過程を一緒に寄り添います。

口唇裂・口蓋裂とは?

外来の案内

01 初診の予約

産科医疫施設の退院が決まりましたら当科 06-6879-2395 にご連絡をいただき、初診のご予約をお取りください。出生前コンサルテーションも受け付けております。

初診の流れ

02 時間とお持ちいただくもの

診察は AM 9:00 からですが、初診手続きに時間がかかるため AM 8:30 にお越しください。紹介状、母子手帳とお子さまが加入する予定の健康保険証をご持参ください。

初診の流れ

03 診察・哺乳指導

受診のあと、哺乳指導を受けていただきます。このときご準備いただく持ち物は、ミルク・哺乳瓶・オムツ・ガーゼハンカチ(スタイ可)・着替え(複数枚)です。

また、哺乳指導の際の ①口唇口蓋裂児用哺乳器 ②細口哺食器は当院で購入できます。

初診の流れ

04 会計

会計にはクレジットカードの利用も可能です。

初診の流れ

新生児の場合

01 診察

まず、全身および口腔内の診察をさせていただきます。そして口唇裂、口蓋裂の診断をさせていただきます。

初診の流れ 新生児の場合

02 ご両親、ご家族への説明

お子様の状態を説明させていただき、どのようにしてなったのか?、そして今後どのような問題があるのか?、その治療方法は?といったようなご両親が不安を抱かれている内容を説明し、質問にお答えします。

初診の流れ 新生児の場合

03 Hotz型プレート、NAM型プレートのための型採り

当科ではHotz型ならびにNAM型プレートを装着させていただいております。往診時または初診時に型取りをさせていただき、当科受診時にできるだけすぐに装着できるよう準備させていただきます。
ミルクが飲みやすくなるだけでなく、早期に装着することで裂幅の狭小化や口唇外鼻の形態を改善することが出来ます。

当院の看護師からの哺乳指導

当院の看護師からの哺乳指導

実際にプレートを装着し、哺乳できているか確認している様子

実際にプレートを装着し、哺乳できているか確認している様子

初診の流れ 新生児の場合

動画で学べる

口唇裂・口蓋裂の子どものミルクは
コツさえつかめばうまく飲めます!

大阪大学歯学部附属病院のホームページでは 出生後からプレートを装着するまでの哺乳の方法」 の解説動画を現在公開しています。
哺乳の困りごとを解決しましょう!

動画で学べる口唇裂・口蓋裂の子どもの哺乳

往診

口腔外科1(制御系)では、1995年より口唇裂口蓋裂患児の治療をよりスムーズにすすめていくことを目標に、小児科および産科との連携を執りながら可能な限り早期からの口唇裂口蓋裂患児の治療を行うために、口唇口蓋裂のお子さのお子さんが出生された産科への往診をおこなっています。

お子さんが出生した後に産科より当院へ電話連絡頂ければ、往診日を調整の上、産科へ往診致します。

連絡先

口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育
治療センター

06-6879-2395(直通)

当院では十分な感染対策を講じた上で往診・診察にあたっています。

往診 小児科産科支援システム 往診 小児科産科支援システム

往診内容

  • 診察
  • 病態や治療についての説明
  • 哺乳床(ホッツプレート)が必要であれば「お口の型どり」当院初診時に哺乳床が装着できるよう作成準備を行います。
  • 哺乳指導

産科往診実績

大阪府以外の他府県からも往診の依頼を受けています。

2015年度
82件
2016年度
76件
2017年度
78件
2018年度
70件
2019年度
103件

産前コンサルティング

胎児では、もともと上唇や口蓋が3つの部分に分かれており、成長の過程でつながって、1つの上唇や口蓋になります。

エコー検査で、鼻や口の特徴を観察することで、唇のつながり忘れ(口唇裂)の概ねの状態を確認することができますが、お口の中までは観察が難しいため、お口の中のつながり忘れ(口蓋裂)についての診断は難しいです。唇のつながり忘れについては、一般的に妊娠20週ごろに観察しやすいといわれています。

赤ちゃんの姿勢や羊水の量などによりエコー画像の見え方が異なることがあります。その為、エコー検査で指摘された所見と実際の所見が異なる場合があります。

エコー検査で唇や上あごのつながり忘れについて指摘された場合、当院へ一度ご相談ください。赤ちゃんの状態や今後の流れ(治療・哺乳指導など)について経験豊富な専門スタッフよりご説明させていただきます。

出産される病院と連携を図り、出産後に往診に伺うことも可能です。できるだけ早く口腔内状況を把握し、適切な治療を開始させてもいただきます。

交通アクセスACCESS

大阪大学歯学部附属病院口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育
治療センター

センター長
田中 晋
副センター長
阪井 丘芳
山城 隆
住所
〒565-0871 
大阪府吹田市山田丘1-8
TEL
06-6879-2395 (直通)
FAX
06-6879-2395
お問い合わせはこちら

阪急千里線北千里駅下車東へ徒歩約25分

大阪モノレール阪大病院前駅(終点)下車徒歩15分

大阪大学歯学部附属病院 口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センター

センター長からの
メッセージMESSAGE

センター長 田中 晋(たなか すすむ)

センター長
田中 晋(たなか すすむ)

わたくしども大阪大学歯学部附属病院は、長年にわたり口唇裂・口蓋裂治療に力を入れており、年間約400件の口唇裂・口蓋裂関連手術、約600名の口唇裂・口蓋裂関連患者の矯正・言語治療をおこなっている施設です。

出生前から成人までお子様の成長に合わせた「総合的一貫治療」を重要視し、乳幼児期から学童期、青年期、そして成人して社会に巣立っていかれるまで、ご家族とともにお子様を見守り、各診療科・関連医療機関との連携のもと、最良の治療を提供できるよう尽力しています。

組織図ORGANIZATION CHART

大阪大学歯学部附属病院
各診療科
口腔がんセンター
近未来歯科医療センター
国際歯科医療センター
口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育
治療センター
看護部
口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育
治療センター
口腔外科1
(制御系)
口腔外科2
(修復系)
顎口腔機能治療部
矯正科
小児歯科
小児内科
看護部

口唇口蓋裂治療に対する医療費補助制度 MEDICAL SUPPORT

これまで述べてきましたように、口唇口蓋裂に対してはそれぞれの専門分野を担当する医師が連携をとりあって、一貫した治療を行っていかなければなりません。したがって、患者さんの治療も多くの診療科で行われ、また、その治療も時間がかかります。当然のことながら治療にかかる費用も高くなりますので、ご家庭での経済的な負担となることが想像されます。しかしながら、このような口唇口蓋裂治療にかかる医療費の高さが、患者さんの治療の遂行の妨げにならないようにするため、現在いくつかの公的な医療費補助が受けられる制度が設けられております。ここでは現在受けられる制度のうち、育成医療制度と乳児医療制度について簡単に説明いたします。

口唇口蓋裂治療に対する医療費補助制度

育成医療制度

定められた特定の疾患によって障害を有する患者さんに対して、その疾患にかかわる治療費について国が治療費の一部を負担する制度です。口唇口蓋裂はこの制度の対象となる疾患に認定されており、全ての手術が対象となります。また、言語治療や矯正治療についても、医療費補助の対象となります。

ただし、医療費補助を受けるためにはいくつかの条件があります。ひとつは御両親の年間の収入により制限が設けられており、収入が規定より多い場合は医療費の補助が受けられません。また最も気をつけなければならないのは、この制度は18歳の誕生日を迎えるまでの治療のみを対象としていることです。したがって、18歳を過ぎたあとの手術では適応されないため、それ以後の治療には通常の診療費の支払いが必要となります。

さらに、育成医療の指定を受けた医療機関でないと医療費の補助が受けられません。大阪大学歯学部附属病院は育成医療の指定を受けており、当科や顎口腔機能治療部、矯正科での治療にはこの制度が適応されます。しかしながら、遠隔地にお住まいの患者さんで矯正治療等を地元で受けることを希望されても、お住まいの近くの医院等が指定医療機関でない場合があります。その場合はこちらの方で指定機関や適切な医院を探して紹介するようにいたしますので、診察の際に御相談下さい。

なお、育成医療の申請に必要な用紙は、所轄の保健所あるいは市役所に用意されており、必要事項を記載(医師の意見書については担当の医師が記入しなければなりません)の上、市役所に提出して申請を行います。

乳児医療制度

赤ちゃんがかかった全ての病気にかかる医療費を全額補助する制度で、近年多くの自治体で導入が行われております。この制度は各自治体によって大きく異なりますので、適応される期間(適応年令)や収入による制限などの面について市役所の窓口で詳しくお聞き頂く必要があります。

この制度では申請には担当医師の証明などは必要がありませんので、早期の手続きをお勧めします。なお、このような公的な医療費扶助の他にも、保険者のお勧め先の保健制度によってはお子さまにかかる医療費の補助を行っている場合がありますので、お勤め先で一度御相談することをお勧めします。

大阪大学クラウドファンディング

2019年度、診療室待合や言語治療室内の壁画作成のために、数多くの方々にクラウドファンディングにご協力いただきまました。おかげさまで明るい待合室・言語治療室になりました。ありがとうございました。

口唇裂・口蓋裂・口腔顔面成育治療センター待合室

Before

waiting room before

After

waiting room after 1

waiting room after 2 waiting room after 3 waiting room after 4

顎口腔機能治療部の言語治療室(一の部屋、二の部屋、三の部屋)

gakuchi room 1 gakuchi room 2 gakuchi room 3

壁画企画・監修:NPOアーツプロジェクト

壁画制作:似顔絵セラピー 村岡ケンイチ

カラー&ビジュアルディレクション:tona 河東梨香

写真:SARUGRAPH 酒谷薫