教授ごあいさつ
全身麻酔により患者は意識がなくなり、痛みを感じなくなります。しかし、身体を切開したり骨をけずったりと、手術そのものが身体に侵襲を与え、身体は様々な反応を起こします。
麻酔中には多くのモニターを用いてこれらの反応を把握し、適切な対応をしなければなりません。実は全身麻酔をかけるということは、生体反応を調節することそのものなのです。歯科麻酔学は、全身麻酔を中心として、その知識と技術を歯科医療時の患者管理に応用した分野です。たとえば、歯科治療が怖くてたまらない人には鎮静薬を使って快適に治療を受けてもらうことが可能です。また重い心臓病で歯科治療が危険と考えられている人には、心臓機能をモニターで評価しながら安全に治療を受けてもらうことができます。
今後の高齢化社会では、何らかの病気にかかっている人が歯科治療を受ける機会は増加していきます。これらの人に対応するために、歯科麻酔学がますます必要とされます。