大阪大学歯学部 第2口腔外科

外来・入院診療

診療内容と専門外来

歯学部附属病院において、外来での智歯などの抜歯から長期の入院を要する口腔癌の治療まで、口腔や顎骨で起こる病気を治療しています。歯学研究科での主専攻分野が口腔腫瘍学であることから、悪性腫瘍、前癌性病変の診療に特色がみられます。実際の診療では、下記疾患のほか、良性腫瘍や嚢胞(顎や粘膜などに生じる袋状の病変)、唾液腺疾患(口渇、食事時の顔面腫脹など)、神経疾患(三叉神経痛、顔面神経麻痺、感覚異常など)といった病気を治療しています。また、全身状態を評価したインプラント治療も行っています。

悪性腫瘍

悪性腫瘍は年間約60例で、これまでに1600例以上の治療を行ってきました。悪性腫瘍の治療は、従来の手術に加え、化学療法や放射線治療を組み合わせて行い、機能や形態の温存を目指した治療を行っています。新しい治療としては、分子標的治療、動注化学療法、ホウ素中性子捕捉療法などを他施設と連携して行っています。

ホウ素中性子捕捉療法 (BNCT:boron neutron capture therapy)

機能温存が重視され、体表からの腫瘍までの距離も限定される頭頸部癌はBNCTに適した治療対象となります。2001年から標準治療後の再発頭頸部悪性腫瘍に対するBNCTを実施しています。これまでに手術、化学療法、X線やガンマ線を用いた放射線治療など従来の治療を行ったあとで再発した場合でも用いることができ、高い奏効率が得られています。QOL改善に有効な治療法であることが明らかになっています。

粘膜疾患

口腔扁平苔癬、ウイルス性疾患、口腔乾燥症、舌痛症などを扱っています。口腔扁平苔癬は主として両側性に頬粘膜に白い網目状の病変を生じる疾患です。この病気は慢性炎症でアレルギーをもとに自己免疫疾患としての性格を持っています。難治性であり、前癌病変である白板症との鑑別が必要となります。

顎変形症

通常の歯科矯正で咬合や機能を回復できないほど顎骨が変形していることがあります。これは骨格性の下顎前突症や上顎前突症など顎骨自体が発育異常を起こした場合です。顎矯正手術を行って咬合と顔貌を改善します。これまでに700例以上の患者さんの治療を行っています。

唇顎口蓋裂

出生後から成人に至るまで、一貫治療を行っています。これまでに500例以上の患者さんの治療を行っています。当診療科では、唇裂・口蓋裂の術後の変形の改善や顎裂部などへの骨移植の治療も行っています。

顎顔面外傷

交通事故、スポーツ、転倒などによる歯の破折、脱臼、顎骨骨折に対応します。重度の顔面外傷例では救命センターからの依頼にも応じています。陳旧性でかみ合わせが不良な場合の相談も受けます。

顎関節症・骨髄炎

顎骨と顎関節の疾患に対応します。顎関節症は口腔外科でもとりわけ頻度の高い疾患です。顎関節症の多くはリハビリ療法で治療しますが、関節内で線維性の癒着が起こって強い開口障害をきたした場合には、内視鏡下で剥離手術が必要となります。しだいに開口障害をきたす場合には、顎骨の過成長や筋膜の瘢痕化もみられますので、画像を用いた正しい診断が必要です。顎骨骨髄炎・重症感染症には手術、抗菌剤投与のほか、他施設と連携して高圧酸素療法を行っています。

外来診療室の紹介

外来では新患の診断、専門外来の診療、智歯(親知らず)の抜歯を始めとする様々な口腔外科小手術、顎関節症などの理学療法、癌への化学療法などを行います。


外来風景(外来における埋伏智歯抜歯)


外来風景(咀嚼補綴科と共同の歯肉癌術後患者へのインプラント手術)

口腔外科病棟の紹介

良性・悪性腫瘍、外傷による顎骨骨折、顔面奇形に対する形成手術、外科的矯正手術、顎骨の嚢胞、多数抜歯、インプラント埋入などの手術や重篤な感染症、口腔癌の放射線治療・化学療法などを入院下で行います。


手術風景(顕微鏡による口腔がん再建手術)


病棟ナースステーション

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