大阪大学歯学部 第2口腔外科

ごあいさつ

平成29年6月1日付で大阪大学 大学院歯学研究科 口腔科学専攻 顎口腔病因病態制御学講座 顎口腔腫瘍学(口腔外科学第二教室)教授を拝命いたしました 鵜澤 成一(うざわなりかず)です。

大阪大学口腔外科学第二教室は、伝統的に数ある口腔外科のフィールドの中で、口腔がんを中心とした口腔腫瘍の治療および研究に力を注いでまいりました。大学院の専攻分野名「顎口腔腫瘍学」にも、そのこだわりが表れております。すなわち当科は、顎口腔腫瘍学に関する臨床・研究および人材の育成を中心に行っております。

臨床面におきましては、外来での抜歯や小手術から長期の入院を要する口腔がんの治療まで、口腔や顎骨で起こるあらゆる病気の治療にあたっております。

当科の特徴は、口腔がんに対する治療であります。第1に、患者さんの要望や全身状態により、さまざまな治療法を選択できるようにしております。口腔がんの標準治療である手術療法に加え、「切らずに治す癌治療」を目指し、化学療法や放射線治療を組み合わせて行い、機能や形態の温存を目指した治療にも力を注いでいます。さらに新しい治療としては、分子標的治療、選択動注化学療法、ホウ素中性子捕捉療法などを他施設と連携して行っています。第2に、手術術後の機能障害を最小限にするべく遊離皮弁移植による顎口腔再建を行い、歯科のさまざまな技術を活用した歯学部附属病院の特徴を生かした口腔がん治療を行っております。第3の特徴としては、口腔がんのどのステージでもあきらめない治療を行えることです。有効な治療法がなく根治が望めない場合でも、患者さんのQOLを重視したさまざまな治療のオプションを多施設と連携して提供できる点であります。

研究におきましても、顎口腔腫瘍学に関する研究をすすめております。おもな研究テーマは、腫瘍と再生医療です。基礎および臨床各科との協力の下に基礎的・臨床的研究を展開し、学内のみならず学外も含めた、幅広い連携のもと研究を進めております。また、現在盛んに行われている多施設共同研究へも積極的に参加協力し、新たなエビデンスの創出に貢献しております。

教室が発展してゆくということは、その教室から有能な人材を数多く輩出してゆくことであると考えます。そのために重要なことは、「優れた人材育成システムを有する」ことであり、多くの可能性を秘めている人材をリクルートすることも重要であります。その観点から、卒後研修をより魅力的なものとし、研修中に研究の面白さを実感させ、生涯にわたり臨床、研究あるいは教育をバランスよく遂行できる大学人、あるいは医療人を継続的に育成し、特に歯科における口腔がん・口腔腫瘍の診療・治療・研究を発展させることのできる、次世代の人材育成を目指しております。

その他に、歯学部附属病院と関連病院・歯科診療所の連携体制を充実させてゆくことも重要です。地域の歯科医師会との情報交換を通して、その地域の歯科診療所から大学病院の歯科口腔外科にどのようなニーズがあるのかを知り、それに対して、可能な限り対応できるように努力してゆくことが大切であると考えます。骨折などの外傷、蜂窩織炎などの炎症、有病者に対する歯科治療、デンタルインプラント前処置としての骨移植など、歯科のさまざまな領域において地域歯科診療所と連携しながら治療を行うことが、当科の重要な役割の1つであると認識しております。

大学病院としての高度先進医療とともに、患者さまの立場に立った最善・最適な医療を提供できるように最大限努力してゆく所存です。何卒よろしくお願い申し上げます。

略歴

平成4年3月 東京医科歯科大学歯学部 卒業

平成4年4月 東京医科歯科大学大学院歯学研究科第1口腔外科学講座 入学

平成5年4月 同 難治疾患研究所 細胞遺伝学講座にて研究

平成8年3月         博士(歯学)学位授与

平成8年4月  癌研究会病院頭頸科にて研修

平成9年4月  東京医科歯科大学歯学部附属病院 医員

平成14年8月  東京医科歯科大学大学院 顎顔面外科学分野 助教

平成21年4月  東京医科歯科大学歯学部附属病院 顎顔面外科学 講師

平成29年6月  大阪大学 大学院歯学研究科 口腔外科学第二教室 教授

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