入局希望者へ
顎口腔腫瘍外科学講座は歯学部附属病院において、外来での智歯抜歯から長期の入院を要する口腔癌の治療まで、手術、薬剤、理学療法などを駆使して治療します。
全身疾患を持つ患者の治療上、内科はもちろんのこと、隣接する耳鼻咽喉科、整形外科、形成外科、皮膚科などと連携することもよくあります。そのため、外来診療、病棟診療を通じて対応能力をつけていく必要があります。
入局説明会
下記日程にて2025年度の入局説明会を行います。
希望者はメールで、件名を説明会参加希望 とし、本文に「①氏名 ②生年月日 ③出身大学名」 を記載して送信してください。
また、希望者がいらっしゃいましたら、ライブ配信や録画配信も検討しますのでお問合せください。
連絡先:matsunaga.kazuhide.dent◆osaka-u.ac.jp
(スパムメール防止のため,“@”マークを“■"にしています)
日時・場所
2024年5月24日(金)17:30
希望者は17:20までに医局前(C棟4階)にお集まりください。
口腔外科外来での診療
外来では新患の診断、専門外来の診療、口腔外科小手術、理学療法、化学療法などを行います。
口腔外科病棟での診療
良性・悪性腫瘍、顎骨骨折、顔面奇形に対する形成手術、外科的矯正手術、顎骨の嚢胞、多数抜歯などの手術や重篤な感染症、口腔癌の放射線治療・化学療法などでは入院が必要となります。入院患者の治療と管理が研修の主眼となります。
手術風景(若手歯科医師と指導歯科医師による全身麻酔下での抜歯)
歯学部を卒業して研修医を修了した歯科医師がさらにステップアップするためには、臨床的に専門的な能力を身に付けるだけでなく、新しい診断法や治療法を開発する大学院へ進学する道があります。将来、臨床の専門医となるにしても、歯科医師のなかで学問的なリーダーシップを発揮するためには大学院で培った学術的な実力が役立ちます。当教室では大学院進学の志をもった若い歯科医師、研修医に対して、口腔腫瘍学、先端手術学をはじめとした大学院カリキュラムを提供しています。
口腔外科臨床の若手勉強会
口腔外科臨床を学ぶ場としては、日常診療とそれに伴う上級医との議論、医局会での手術症例検討、外来メンバーによる初診症例検討、病棟メンバーによる入院症例検討、が挙げられます。
これらに加え、若手医局員(特に1,2年目)が積極的に発言しやすい環境で、中堅以上の医局員が大学や関連病院で経験した症例を提示しつつ、学術的背景に基づいた議論をすすめ、臨床病態や治療方針の理解を深める場としています。
勉強会風景:血液検査について(2020/09/18 外来にて)
勉強会風景:骨折の診断について(2019/11/23 医局旅行にて)
勉強会風景:動注化学療法について(2019/5/27 病棟にて)
入局後の進路
必ずしも希望に沿うわけではないですが入局後の進路には以下の様なパターンが考えられます。
途中に結婚・出産をし、職場復帰している先輩達もいます。
医局員の声
K.N.先生(2014年卒)
• 入局までの経緯・入局理由
卒業前、進路に悩んでいた時に、「一般歯科は長いスパンでできるけど、若い時は大学病院でしか経験できないことを勉強するのもいいのでは」というアドバイスを受け、元々興味のあった口腔外科での研修・入局を決めました。出身大学ではなく、この医局を志望した理由は、一人当たりの症例数が豊富で、関連病院も多いということを知り、入局後は臨床の力がついて、研鑽の場が大学内外に広く開かれていると思ったからです。
• 入局後、日々の臨床で感じたこと
入局当初は慣れないことも多くて大変に感じたこともありましたが、抜歯をはじめ、様々な口腔外科疾患の患者さんに接することができ、とても充実感があります。指導医の先生とのディスカッションを通して、その病態や治療法等について日々学んでいます。また、全身状態と口腔疾患との関連性や医科との連携など、口腔外科分野に限らず必要な知識や対応を、十分身につけられると思っています。週3日は口腔外科、2日は総合診療部で研修しており、外科処置と一般歯科をバランスよく学ぶことができています。
• 今後の抱負
来年度、大学院進学以降も外来・病棟での経験を積んで、口腔外科の知識をより深めたいです。当科は腫瘍の患者さんが多いため、その治療に関わっていけたらと思います。大学院在籍中に口腔外科認定医の資格をとって、ゆくゆくは専門医の資格も取得したいです。
• 未来の医局員へのメッセージ
私は、研究にも興味があるので大学院進学を決めましたが、「大学病院で学びたいけど、大学院に入るのはちょっと…」と考えている人にも、第2口腔外科の扉は開かれていると思います。医局の先生の中には臨床研修後、関連病院に出向された方もいます。いろいろな先生から教えてもらうことができて、バイト先も多いですし、医局の雰囲気も良いので、口腔外科をしっかり学びたい人は、入局を検討されてはいかがでしょうか。
H.Y.先生(2013年卒)
• 入局までの経緯・入局理由
臨床実習で口腔外科を志望しました。その中で特に腫瘍関係について興味をもっていたので、それらの治療実績が豊富とされている当科へ入局しました。
• 入局後、日々の臨床で感じたこと
現在、外来に所属しています。担当する患者さんが多く、口腔外科の一般的治療である埋伏歯の抜歯などを充分に経験できるだけでなく、悪性腫瘍の方も多く受診されるため、その診断と治療方針について学ぶ機会にも恵まれていると感じます。
• 今後の抱負
まずは口腔外科認定医、そして専門医を目指しています。
• 未来の医局員へのメッセージ
口腔外科は学ぶことはたくさんあります。先輩方の技術的・学術的指導を下に、ひとつひとつのケースから学びを得ていくことが大切だと思います。その積み重ねによって、臨床の幅が広がり、質も深まると考えます。ここにはその2つが備わっており、口腔外科を続けていきたいと考えている方には、有益な経験になると思います。第2口腔外科を一緒に盛上げていきましょう!
Y.K先生(2003年卒)
• 入局までの経緯・入局理由
学生時代から、口腔外科に一番興味を持っていました。地方出身のため、地元医学部口腔外科も見学に行き、卒業大学である阪大との間で迷いましたが、症例の多さを理由に阪大を選択しました。第二口腔外科は自由そうな雰囲気だったので入局を決めました。
• 入局後、日々の臨床で感じたこと
大学の口腔外科の特徴の一つは、関連病院と呼ばれる総合病院口腔外科に数年単位で出向勤務の機会があることです。第二口腔外科は、公立病院を主に、様々な規模の関連病院を大阪府内や阪神地域を中心に有しています。私自身、2か所の関連病院に勤務しましたが、病院の規模や患者層により、各々の病院で求められる事は異なります。その経験によって、私の医療人としての幅が広がったように思います。医科との連携もあり、学ぶ事が沢山ありました。また、総合病院は保障や設備が整っている事が多く、私は院内保育所を利用しながら出産を経ても勤務を続ける事が出来ました。
• 今後の抱負
学ぶ事は無限!口腔外科学に限らず、日々様々なことを吸収しながら仕事を続けていきたいです。
Y.M先生(2009年卒)
• 入局までの経緯・入局理由
私は、大阪大学歯学部に入学した当時から口腔のどこでも何でも診る口腔外科に興味があり、将来は口腔外科医になろうと決めていました。学生の臨床実習を通して、口腔外科学第二教室での論理的で適確な診療に触れ、またその時の実習担当の先生とのディスカッションにも感銘を受けました。入局を検討していたときに、当科の関連病院も含め、いくつかの病院歯科口腔外科を見学させていただき、地域医療の現場に触れることができました。 このような経緯もあって、卒後1年目の研修医は関連病院の市立池田病院に勤務し、2年目に大学院で入局することとなりました。
• 入局後、日々の臨床で感じたこと
入局1年目(大学院1年目)での外来、2年目での病棟業務は日々充実して過ぎました。特に病棟では大学病院ならではのシビアな症例も多く、正直大変なこともありましたが、振り返ると日々新しいことを学び、他では得ることのできない貴重な経験ができました。 臨床からは離れますが、大学院生としての研究ができたことも、とてもいい経験でした。研究を通して純粋な研究分野の知識だけでなく、探究心や論理的な思考の基礎を築けたと思っています。口腔外科の分野に囚われずに幅広く、そして論理的に学べたことは大学院へ進学したことのメリットだったと思います。
• 今後の抱負
今後は、口腔外科医として、まずは今の明和病院でどのような患者さんが来ても治せる力をつけることが目標です。口腔外科としての知識や技術だけでなく、さまざまな全身疾患を有する患者さんや高齢者が多く来られ、なおかつスタッフの少ない病院歯科では、随所で適切な判断、対処が必要です。さらに、患者さんの背景まで踏み込んだ対応力を身につけることも重要でしょう。臨床だけでなく、そこで得た経験や疑問を、今後の研究に生かしていければと考えています。
A.M先生(2010年卒)
• 入局までの経緯・入局理由
マッチングのときに研修病院のひとつとして選択しました。医局の先生の中には私の出身大学の先輩もおられたので、声を掛けやすかったことから見学をさせて頂きました。由良教授に、「臨床も研究もできる人材の育成を」という話をうかがいました。外来・病棟・研究と、それぞれ専念する期間に分かれていることから、大学院修了時の理想像を描くことができました。
• 入局後、日々の臨床で感じたこと
入局1年目・研修医では、附属病院で口腔外科と一般歯科診療を半年ずつ経験しました。翌年、大学院へ入学し、外来診療で抜歯を中心とした外科手術を行い、また、画像診断や臨床検査の知識を深めていきました。このような経験により、有病者の全身評価を自分自身である程度できるようになりました。生活習慣病が蔓延する高齢化社会では、歯科医としても欠かせないスキルと考えています。大学院時の定期出張勤務先は、おもに一般歯科開業医院でお世話になりました。とまどうこともありましたが、一般歯科診療にもある程度自信がついたように思います。 入局3年目(大学院2年)は病棟配属でした。腫瘍・顎変形症・外傷・口唇口蓋裂症例の全身管理や手術助手を経験し、その手術記録の記載を通して手技や解剖を学びました。当科は腫瘍の症例が多く、部分切除から再建を伴う手術、また動注化学療法など様々な症例に接することが出来ました。この間、時には帰宅が遅くなりましたが、学びも多かったと考えています。 入局4年目(大学院3年)からは研究が中心となりました。論文検索を通して自ら情報を得て、実験を行いながら結果の考察をすすめていきました。臨床に還元できるような研究に触れることができました。 私は、卒後5年(大学院修了)までに得た知識や考え方がその後を決めると考えます。これまでの私の道のりが正解かどうか分かりませんが、後悔しない選択であったと思います。
• 今後の抱負
まずは学位取得です。その後は関連病院の勤務か大学勤務か分かりませんが、口腔外科臨床で患者さんと接する日々を楽しみにしています。