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口唇口蓋裂治療に対する医療費補助制度
これまで述べてきましたように、口唇口蓋裂に対してはそれぞれの専門分野を担当する医師が連携をとりあって、一貫した治療を行っていかなければなりません。したがって、患者さんの治療も多くの診療科で行われ、また、その治療も時間がかかります。当然のことながら治療にかかる費用も高くなりますので、ご家庭での経済的な負担となることが想像されます。しかしながら、このような口唇口蓋裂治療にかかる医療費の高さが、患者さんの治療の遂行の妨げにならないようにするため、現在いくつかの公的な医療費補助が受けられる制度が設けられております。ここでは現在受けられる制度のうち、育成医療制度と乳児医療制度について簡単に説明いたします。
1. 育成医療制度
定められた特定の疾患によって障害を有する患者さんに対して、その疾患にかかわる治療費について国が治療費の一部を負担する制度です。口唇口蓋裂はこの制度の対象となる疾患に認定されており、全ての手術が対象となります。また、言語治療や矯正治療についても、医療費補助の対象となります。
ただし、医療費補助を受けるためにはいくつかの条件があります。ひとつは御両親の年間の収入により制限が設けられており、収入が規定より多い場合は医療費の補助が受けられません。また最も気をつけなければならないのは、この制度は18歳の誕生日を迎えるまでの治療のみを対象としていることです。したがって、18歳を過ぎたあとの手術では適応されないため、それ以後の治療には通常の診療費の支払いが必要となります。さらに、育成医療の指定を受けた医療機関でないと医療費の補助が受けられません。大阪大学歯学部附属病院は育成医療の指定を受けており、当科や顎口腔機能治療部、矯正科での治療にはこの制度が適応されます。しかしながら、遠隔地にお住まいの患者さんで矯正治療等を地元で受けることを希望されても、お住まいの近くの医院等が指定医療機関でない場合があります。その場合はこちらの方で指定機関や適切な医院を探して紹介するようにいたしますので、診察の際に御相談下さい。
なお、育成医療の申請に必要な用紙は、所轄の保健所あるいは市役所に用意されており、必要事項を記載(医師の意見書については担当の医師が記入しなければなりません)の上、市役所に提出して申請を行います。
2. 乳児医療制度
赤ちゃんがかかった全ての病気にかかる医療費を全額補助する制度で、近年多くの自治体で導入が行われております。この制度は各自治体によって大きく異なりますので、適応される期間(適応年令)や収入による制限などの面について市役所の窓口で詳しくお聞き頂く必要があります。この制度では申請には担当医師の証明などは必要がありませんので、早期の手続きをお勧めします。なお、このような公的な医療費扶助の他にも、保険者のお勧め先の保健制度によってはお子さまにかかる医療費の補助を行っている場合がありますので、お勤め先で一度御相談することをお勧めします。
あとがき
以上が大阪大学歯学部附属病院第一口腔外科での唇顎口蓋裂治療の概略です。大阪大学歯学部附属病院では、第一口腔外科での手術だけではなく矯正歯科、顎口腔機能治療部(言語治療)、補綴科(歯が欠損しているところの治療)、小児歯科(虫歯の治療)とのチームワークによって総合的な治療を進めております。
なお、大阪府立母子保健総合医療センターの口腔外科でも同様の治療を行っております。
連絡先:大阪大学歯学部付属病院口腔外科(制御系)
第一口腔外科 唇裂・口蓋裂治療班
〒565-0871
大阪府吹田市山田丘1-8
TEL:06-6879-2936(直通)
FAX:06-6876-5298
併 設:口唇口蓋裂新生児相談室 / 口唇口蓋裂治療相談会