研究活動

歯科疾患の予防戦略の開発と口腔状態と全身の健康に関する疫学研究

小島美樹

研究の目的

Fig1-A

疫学的手法を用いて、歯科疾患のリスクを減少させ、全身の健康を維持・増進することを目的として、国民や患者に歯科疾患のリスクや疾患予防の重要性を啓発するため、また、政策決定者が歯科保健医療政策の優先順位を決定するための科学的根拠を明らかにする。

近年の研究テーマ

口腔と全身疾患の共通基盤としての肥満と慢性炎症の遺伝・環境相互作用 機序疫学
歯科─医科健診リンケージデータを用いたコホート研究 機序疫学
受動喫煙と乳歯う蝕の関係経路の解明 機序疫学
喫煙による超過歯科医療費と歯科禁煙診療の医療費削減効果の推計 政策疫学
歯の喪失と癌の誘発要因との関連性 機序疫学
歯科における禁煙診療の標準化と普及 政策疫学
喫煙と歯科疾患の現状分析 機序疫学
地域における歯科たばこ対策の推進 政策疫学

最新論文の紹介

“Necessity and readiness for smoking cessation intervention in dental clinics in Japan”
「日本の歯科医院における禁煙介入の必要性と準備性」

【背景】歯科患者の喫煙状況と喫煙ステージおよび患者の喫煙の影響に対する歯科医師の意識を調査して、歯科医院における禁煙介入の必要性と準備性を評価した。
【方法】日本歯科医師会会員データベースから無作為に選択した1022人の歯科医師に自記式質問票を郵送した。質問票は歯科医師用と患者(20歳以上)用から構成され、2008年2月に各歯科医院で記入された。
【結果】対象歯科医院の78.2%から質問票の返送があり、その回答率は患者用で73.7%、歯科医師用で74.7%であった。患者11370人と歯科医師739人のデータを解析した。患者全体の喫煙者率(25.1%)は国民健康栄養調査の値と同程度であった。若年女性患者の喫煙者率は、国民健康栄養調査の値と比較して特に高かった。喫煙者の70%以上が禁煙に関心があった。歯科医師喫煙率(27.1%)は医師喫煙率(15.0%)と比較して有意に高かったが、歯科医師の約70%は患者の喫煙の影響を気にしており、診療所内を禁煙にしていた。
【結論】禁煙に関心のある多くの喫煙者が歯科医院を受診しており、特に若年女性の受診が多かった。また、ほとんどの歯科医師が喫煙は患者に悪影響があると考えていた。これらの結果は、歯科医院において禁煙介入が必要であることと、歯科医師には禁煙介入への準備があることを示している。
 (Ojima M et al., Journal of Epidemiology, 2012; 22(1): 57-63.)